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とある博物館の売店の営業は無事に終了しました。

猫まっしぐら!な猫ちぐらの作り方 – 準備

猫ちぐら

 予約殺到&作り手不足で購入するのに5年待ちと言われる猫ちぐらを作ってみました。

 ひとつ2万円前後する上に、5年待ちといわれる猫ちぐら。「だったら、5年も待つ間に自分で作れるようになれば猫ちぐら御殿が立つんじゃね?」と思って、自分で猫ちぐらを作ってみたのですが、いや正直、これで2万は安いわ……

猫ちぐら製作の手引き

猫ちぐら

 猫ちぐら製作にあたって、川崎市立日本民家園から冊子「民具のつくり方 -猫ツグラ-」を取り寄せました。冊子自体は400円ですが、その他に送料や現金書留の手数料などがかかるため、なんだかんだで総額1,000円くらいかかりました。

 この冊子で紹介されている猫ちぐらのつくり方は秋山郷(新潟県と長野県の県境)に伝わっているものです。ただ、秋山郷オリジナルの猫ちぐらは製法が廃れており、現在、秋山郷に伝わっている猫ちぐらのつくり方は秋山郷の人達が新潟県の関川村で講習を受けて習得したものだそうです。ということは、製作方法としては関川村のものと同じなのかも? ちなみにもともと秋山郷で作られていた猫ちぐらは円錐形だったとか。

猫ちぐらの規格

規格底面直径/cm高さ/cm入口の高さと幅/cm入口段数
ミニ20〜25168 x 103
30〜352410 x 124
35〜402811 x 134
40〜453213 x 154
特大45〜503615 x 184

 入口段数は、入口の底辺を何段目に持ってくるか、という数です。ミニの場合は3段目に入口の底辺が来ます。

 自分ちのネコにはどのサイズが合っているか悩ましいところですが、作ってみた感じでは、3kgのネコなら小以上、5kgのネコなら中以上といった感じです。

材料と道具

材料

 製作にあたって必要な材料は以下の通りです。

  • ワラ(長さ60cmほど) 20把くらい
  • 麻紐 30cm〜50cm

 冊子によると、ワラの使用量は小さいもの(底面直径20〜25cm)で7把、大きいもの(底面直径40〜45cm)で20把となっています。
 「把」という単位がイマイチぴんときませんが、販売されている猫ちぐら(底面直径40cmくらい)が4kg前後なので、まあ、だいたいそれくらいの量のワラを用意しておけば大丈夫だと思います。
 ワラの代わりに紙紐を使う場合は、1,000mほど必要になります。このあたりの本体の材料については後でまた検討します。

道具

  • ワラの差し入れ針
  • 畳針 (毛糸針でも可)
  • 洗濯ばさみ

 ワラの差し入れ針は細い針金(φ2mm、長さ30cmくらい)を二つ折りにして作ります。写真の差し入れ針はハンガーを切って作りました。柄の部分に絶縁テープを巻くといいらしいですが、めんどくさいのでこのまま使っています。

猫ちぐら
ハンガーを切って作った差し入れ針

 洗濯ばさみは、編むのを途中で休止する際により止めするのに使用します。

猫ちぐら
洗濯ばさみでより止めしているところ。

猫ちぐらの材料を調達する

 猫ちぐら製作にあたり、もっともハードルの高い問題が材料の調達だったりします。今回はワラ以外の素材も検討してみました。

ワラ

はざかけ

 通常、猫ちぐらの製作に使われる材料はワラです。
 ただ、現代の一般生活においてワラはそれほど需要のある素材ではないので、なかなか手に入れるのが困難だったりします。近所で手に入らない場合は、ワラ細工用のワラを通販しているところもあるのでそういったところを利用するのも手です。

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 農家の知り合いなどに頼むという手もあります。この場合は、稲刈り前に声をかけておくことをオススメします。ワラは刈り取りの時に細かく刻んで田んぼに戻したりするので、田舎だからワラが簡単に手に入るとは限らないんだからねっ!
 また、もらったワラもそのまま使えるわけではなく、虫が湧かないように燻蒸(防虫処理)したり、ハカマ(イネの葉の部分)を除去して整えたり、という処理が必要だったりします。

 編む際は、水に濡らし、叩いて軟らかくする作業が必要。また、天然素材であるため、ワラの長さや太さにムラがあり、編みあげるのはなかなか手間がかかります。わらクズ出るし、なんかちくちくするような気もするし、割と上級者向きかも。

紙紐

猫ちぐら

 ワラの代わりに使える素材として、紙紐があります。ホームセンターで100mの紙紐が200円くらいで販売されています。
 使用する際は長さ60cm位に切り、よりをほぐして使います。強度はワラにやや劣るかもしれませんが、2kg位のネコが上に載っても崩れない程度の強度は出ます。
 ワラよりも入手しやすく、虫が湧く心配もありません。完成品の風合いもなかなか良いです。

 ただし、紙紐をほぐす作業がちょー大変です。
 60cmの紙紐をほぐすのに3分くらいかかるとすると、1時間に処理出来る長さは12m。で、猫ちぐらひとつ作るのに1kmくらいの紙紐が必要になるので、全部処理するのにかかる時間は、なんと約80時間。1日8時間労働としても紙紐の処理だけで10日はかかる計算になります。

 まあ、ほぐし作業はテレビ見ながらでも出来るので、気長に作れる人は紙紐がオススメです。ちなみに、試しに紙紐をほどかずに編んでみたりもしましたが、これはちょっとイマイチな感じでした。

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クラフト紙

猫ちぐら

 「紙紐をほぐすのが面倒なら紙紐の材料を使えば良いじゃない」と思って手を出したのが紙紐の材料になっているクラフト紙です。ホームセンターの梱包材コーナーなどで手に入れることができます。

 91cm x 30mといったロールで販売されているため、自分でクラフト紙を切り分けて紐状にする必要があります。さらに柔軟性を出すために紙をくしゃくしゃにしてしわを入れる作業も必要です(ただ切り分けただけの紙紐では編むときに切れてしまう)。
 それでも素材準備の作業にかかる時間は40時間くらいでしょうか。あと、延々と紙をくしゃくしゃする作業を続けることになるため、操指伸筋が熱く燃えます。

 価格は91cm x 30mのロールで600円くらい。1ロールから600m分はとれるので、コストは紙紐よりも全然安いです。

 クラフト紙は処理にかかる時間もコストも紙紐に比べて優れています。
 難点をあげるとすれば、操指伸筋が炎上するところと素材の質感がイマイチというところ。素材としてはクラフト紙も紙紐も同じなのですが、紙紐をほぐしたものの方がより柔軟性に富み、より自然な風合いに仕上がります。

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  • メーカー:トラスコ中山(TRUSCO)
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今回はクラフト紙で作っていきます

猫ちぐら

というわけで、今回は材料の調達しやすさ、および製作期間とコストに優れるクラフト紙を使って猫ちぐらを編み上げていきます。素材が変わっても猫ちぐらの製作方法自体は同じなので、自分に合った素材を使ってください。

 というか、現在、個人的にベストな素材は紙紐をほぐしたものなのですが、よりよい素材があったら教えてください。もしくは、紙紐を一瞬でほぐす技とか、一瞬でクラフト紙に(ほぐした紙紐のような)細かいシワを入れる技術とかあったら是非!

参考

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