美容室に行きそびれ、気が付けば腰近くまで伸びた髪。そろそろ切ろうかなーと思っていた時、医療用のウィッグ(医療用カツラ)製作用に長い髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」なるものを知ったわけで。なかなか出来ない体験! ということでバッサリ切って寄付してみました! 寄付をしたいと思っている方は是非参考にしてみて下さい!
日本国内で活動している団体
JHDAC:ジャーダック(JAPAN HAIR DONATION & CHARITY)
長く伸ばした髪を集め、医療用ウィッグを製作・提供している団体は海外にはいくつかありますが、日本国内で活動しているのは「JHDAC(JAPAN HAIR DONATION & CHARITY)・ジャーダック(ジャパンヘアドネーションアンドチャリティー)」という団体のみ。小児ガンや白血病、先天性の無毛症や不慮の事故により髪の毛を失った子供達や女性のために、人毛100%の医療用ウィッグを無償提供している日本で唯一のNPO法人です。
提供できる髪の毛の条件
JHDACが寄付を受け付けている髪の毛の条件は以下のとおり。
1. 医療用ウィッグとして使用できる最短の長さは”12インチ(30.48㎝)”ですが、基本的にはどの様な髪でも受付けております(特に長いものを多く必要としています)。寄付のお願い | JHDAC
2. 12インチに満たない長さの髪は、場合によっては廃棄処分、または転売させて頂くことで、医療用ウィッグの制作費用に充てさせて頂きますので、事前にご了承の上、ご寄付下さい。
3. 髪は乾燥した状態で、くせ毛等は伸ばした状態で計測して下さい。
4. 毛束は根元を輪ゴム等でしっかりと(多少キツめでも構いません)括り、同じく毛束中央部と毛先の3カ所程度を結んで下さい。
5. パーマやヘアカラー、縮毛矯正等の化学処理が施されている場合でも、トリートメント等で日常的に手入れがなされていて、主観的にダメージの少ないものであれば問題ありません。
6. ヘアドネーション(毛髪の寄付)は、年齢・性別等に関係無くどなたでも参加が可能なボランティアです。
上記の条件に、注意点等をまとめると以下のような感じです。
- 切り口から毛先までが最短で31センチ(12インチ・30.48cm以上)の髪 ※くせ毛は伸ばした状態で計測
- パーマやヘアカラー、縮毛矯正等がしてあっても主観的にダメージが少ない髪であればOK(引っ張ると切れてしまうようなダメージでなければOK)
- 寄付する毛束は根元・毛束中央部・毛先の3ヶ所程度を輪ゴム等でしっかりと結んだ状態にする
カット、そして送付時の注意点はこちら。
- 切り口が揃っていない毛束は不可。根元をしっかり縛ってカットし、そのままほどかずに送付。
- 伸縮性のあるゴム(輪ゴム・ヘアゴム)を使用しきつめに縛ること。布紐やビニール紐はほどけてしまうのでNG。
- 細い毛束はゴムの上1cmのところ、太い毛束はゴムの上2cmのところを目安にカット。
- 髪は濡らさずにカット、完全に乾いた状態で送付すること。
※少しでも湿っているとカビや雑菌が繁殖し、他の人の髪の毛まで使えなくなってしまう場合あり。
海外の団体はパーマやカラーのしてある髪はNGのところがほとんどなのですが、JHDACはパーマ・カラーともにOKとのこと。パーマもカラーもしてある私の髪の寄付先は迷わず決まりました。その他、へナカラー、白髪が交じった髪、元々明るい色の髪、天然パーマ(くせ毛、縮毛)でもOKだそうです。
※条件等は私が寄付した時点のものなので、詳細はJHDACのサイトにてご確認をお願いします。
ウィッグの材料として使用できる最短の長さは31cmですが、それより短い髪でも受け付けているとのこと。その場合はヘアピースや毛髪見本用として転売してウィッグの製作費用にあてたり、場合によっては(短い髪のほとんどは)廃棄処分となるそうです。
現在は51cm以上の髪が不足しているとか。自分の髪はけっこう長いと思っていましたが、51cmはさすがに無理でした……
美容室へ行ってカット!
美容室に行く前に
まずは毛髪寄付用にカットしてもらえるか、美容室・美容師さんに確認してみましょう。以下の点を伝えて相談・予約するといいと思います。
- 寄付用にカットをしたいこと(ウィッグ製作用の髪の毛を集めている団体があること)
- 寄付する毛束の長さが31センチ以上必要であること
- ばらけないよう、しっかりと結んでから切ってもらうこと
- 髪を持ち帰らせてもらうこと
普通、美容師さんはお客さんが希望する髪型に合わせてカットする髪の長さを決めます。しかしヘアドネーションの場合は希望する髪型よりも長さ、縛った状態で切ることが優先される、普段とは違った切り方です。縛った状態でカット、その後髪型を作り上げていくのは美容師さんにとってなかなか大変。時間も少し長くかかります。相談なし・予約なしだと美容師さんが困る可能性大。事前に相談してから行きましょう。
近くに賛同美容室があればそこがおすすめ
なおJHDACのサイトにて、JHDAC公認の協力店「賛同美容室」が紹介されています。賛同美容室には募金箱とパンフレットが常設されており、美容師さんもあらかじめヘアドネーションについての知識があるのでお願いしやすいです。JHDACへの髪の送付もやってくれるっぽい??
ただしまだ賛同美容室は少ないので、自分で説明してカットをしてもらうという流れが多くなるかと思います。自分でちゃんとわかっていれば賛同美容室がなくても諦めることはありません。がんばってヘアドネーションの趣旨や髪の切り方を説明・相談してみましょー!
追記:2017年5月
「賛同美容室」という呼び名から「ドネーションサロン」または「賛同サロン」という呼び名に変わったようです。
いざ、美容室へ!
カットに協力してもらったのは新潟県長岡市に新しくできた美容室「relax&beauty Black Hair(ブラックヘアー)」。以前よりお世話になっていたスタイリストの本村さんに事前にヘアドネーションの趣旨を説明・相談、JHDACのサイトを確認してもらい、髪の毛の切り方等を把握してもらってからカットに挑みました。本村さん、本当にありがとうございます!
追記
その後「relax&beauty Black Hair(ブラックヘアー)」は賛同サロンになりました!
髪の毛の切り方
今回はカット後の髪型よりも、寄付する髪の長さの確保を優先して欲しいとお願い。このあたりも美容師さんに伝えておくとスムーズです。
切った毛がばらけてしまうとウィッグとして使えなくなってしまうので、輪ゴムで根元をしっかりと結んでもらいます。
これで毛束のカットは完了!
寄付用毛束カット後のカット
毛束を切り取ってもらったら髪型を整えてもらいます。ボブにしてゆるふわパーマで! とか思っていたのですが、せっかくならと寄付する髪はできるだけ長くしたい! とギリギリまで欲張った結果、がっつりショートカットになりました。腰まであれば31cm切ってもボブくらいの長さはキープできると思いますよ!
ここまで短くしたのは人生初! カラーもしてもらいすっかりイメージチェンジ! あの状態からきれいに切りそろえてくれる美容師さんってやっぱりすごい。
切った髪の毛の送付方法
切った髪の毛はばらけないようにし、毛束の根元、毛束の中央部、毛先の3ヶ所程度をきつく結びます。家庭用の輪ゴムやヘアゴムだときつく結ぶのは難しいので、美容室で使われている太くてしっかりとした輪ゴムがおすすめ。このあたりを考えると自分で切るよりも美容師さんに協力してもらった方が簡単です。でも自分で切ることができるのなら自分で切っても良いかと。
JHDACのサイトに掲載されている「DONATHION SEET(ドネーションシート)」に必要事項を記入します。サイトに掲載されているものを印刷、もしくは手書きでもいいそうです。必要事項は以下の通り。
※ドネーションシートは任意なのでなくても大丈夫です。
- 寄付の内容:毛髪、寄付金、その他()内に記入
- 受け取り確認:要 or 不要 (郵便物・募金が届いた旨の連絡)
- 名前・ふりがな
- 住所・郵便番号
- メールアドレス ※携帯メールの場合はPCメールからの拒否を解除のこと
- 電話番号(自宅、携帯電話など)
- このボランティアを知ったきっかけやメッセージ等(別紙に書く人も多いようです)
髪の毛をビニールの袋に入れたら送付の準備完了! 封筒を用意し、髪の毛とドネーションシートを入れ、切手を貼ったらポストに投函です!
今回は定形外の封筒を使用。全てを入れて重さを量ったところ171gでした。定形外郵便物の切手代は150g以内は205円、250g以内は250円(2014年4月の郵便料金変更後の料金)。250円分の切手を貼って投函しました。
茶封筒だとペラペラでちょっと心許ない感じがしたので、厚紙製でA4サイズが4kgまで送れるレターパックライト(360円・全国一律料金)の方がいいかも? と思ったり。
これで無事完了! ヘアドネーションでやることはすべて終了です!
できたら資金面も応援すると良さそう
送った毛髪にはトリートメント処理が必要
医療用ウィッグの製作には1体あたり約10万円のお金がかかり、1つ作るのに20〜30人分の髪が必要なのだそうです。また寄付した髪の毛もそのまま使えるわけではなく、質感や色の違う髪を均一にする「トリートメント処理(化学処理)」の工程・費用が必要。お恥ずかしいことに1人分の髪の毛でそのまま1つのウィッグができると思っていました。
トリートメント処理は数百人〜千数百人分をまとめて出荷。費用は1人分に換算すると約2,000〜3,000円とのこと。「もしよろしければ、ご自身の髪の処理費用だけでもご協力頂けると非常にありがたいです。」とありました。
今回は髪の毛を送付し、それにあわせてトリートメント費用を寄付(募金)させて頂きました。ショートカットにしたことでシャンプーの時間、量が半減。その分と思って寄付金を振り込んでみたり。
JHDACの活動を見ると髪の毛の寄付はけっこうあるようですが、やはり資金面での苦労がある様子。髪の毛の寄付はもちろんですが、できたら一緒に募金をして資金面も応援できるとより多くの人に早くウィッグを届けられるのでは、と思います。髪を伸ばせない人も、髪を伸ばしている最中の人も。募金で応援する方法もあります!
そんな感じのヘアドーネーション体験でした
30年以上の人生のほとんどをロングで送ってきた私。ヘアドネーションというきっかけがなければこんなに短いショートカットにすることはなかったと思います。切った直後はやはり馴染めず、あわわわわーとなっていましたが、3日もするとショートの快適さが勝りました。そして髪を短くしたことを意識する度に、ちょっと社会貢献できたかなーという自信や喜びが。これ、けっこうにやにやできます。誰かのためになれたかと思うとちょっと幸せ。
髪が伸びる速さは1年間に10〜15cm、次回の寄付は2〜3年後
個人差がありますが、髪の毛は1ヶ月で1cm程度、1年間で10〜15cm伸びるそうです(美容師さん談)。次回も寄付するとすれば髪が伸びるまで2年〜3年必要。長く伸ばした髪の毛を切って寄付するのは人生でそう何回もできる体験じゃないです。今回はまさに「タイミングが合ったから」という感じでした。
どんな人が髪の寄付をしているのか
JHDACのサイトに掲載されているドナーからの手紙を見ると、男の子でも髪を伸ばし、提供している子がいる様子。すごいですね。あとフラダンスをやっていてずっとロングヘア(スーパーロング)にしていた人が辞めるときに切った髪の毛を寄付することも多いようです。「この活動を知っていれば寄付したのに……」という声も少なくないようなので、フラダンスをやっている人は気に留めておくとよいかもしれません。
この他、自身が抗がん剤治療・放射線治療を受ける前に髪を切って寄付するという人も。長い髪が抜けていくとショックが大きいので、先に短くしておくのだそうです。普段は気にすることはありませんが、髪を伸ばすのは健康だからこそできることなんだなーと実感しました。
今回かなり短くしたので、次の寄付はかなーり先になりそうですが、もう1回くらい提供できたら良いなと思っています。
最後に
美容室「relax&beauty Black Hair(ブラックヘアー)」
今回協力してもらった美容室「relax&beauty Black Hair(ブラックヘアー)」に感謝の意を込めてご紹介! 新潟県長岡市瓜生(旧三島町)に新しくできた美容室です。
コンセプト、そして店名に込められた思いは「黒髪が本来持つ力、美しさを大切にすること」。カラーリングの場合も髪が元々持つ艶を活かした仕上がりを心がけているそうです。今回はカラーもしてもらいましたが、人から「髪、きれいになった?」と言われました! 染めたのに言われるとは!
白い壁と木が印象的な店内。おしゃれでいながら落ち着ける雰囲気です。なんと畳の小上がりもあったり。出して頂いたコーヒーが美味しくて褒めたらインスタントでした。恥ずかしい。。
スタイリストの本村さんとはよくマンガの話をしてます。マンガや映画が好きなので、その辺に詳しい人は話が合うこと間違いなし。またお子さんもいるので、子育ての話でも盛り上がるんじゃないかと!
女性はもちろん、男性にも人気の美容室。予約をすると遅い時間でも受け付けてくれるので、仕事帰りにもリラックス&ビューティーできちゃいます! ブラックヘアー、オススメの美容室ですよ! 長岡市近郊にお住まいの方は是非!
追記
JHDACのサイトにて、送付した髪の毛を確認
JHDACのサイトには寄付された髪の毛の写真と寄付者の名前(住んでいる地域と氏名のイニシャル)が掲載されています。無事に届いたようで私の名前と髪の毛の写真も掲載されていました! 私の髪の毛はたくさん並んでいる写真の中の一番左側です。こうやって写真や名前が載るとちょっとうれしいですね!(記念に印刷しておこうかしらー。)
追記:2017年5月
現在、髪の毛の写真と寄付者のイニシャルの掲載はなくなりました。その代わり、希望すれば受領書がもらえるようになったようです。
バッサリ切って1ヶ月経っての感想
髪を切って1ヶ月。周りを驚かせちゃったりもしましたが、自分はとっても快適に過ごせてます! 生活の変化、心境の変化などをまとめてみましたのでこちらもどうぞ!
BlackHairが賛同美容室に
お世話になった美容室「BlackHair」がJHDAC賛同美容室になりました!
BlackHairの本村さんがへドネーションを!
なんと! 髪を切ってくれたスタイリストの本村さんが髪を伸ばしてヘアドネーションをしました! 動画で紹介していますので是非ご覧下さい!
JHDACパートナー企業
JHDACの活動を応援するパートナー企業のひとつに「アデランス」があります。全国のレディスアデランスサロンをメジャーメント会場として解放しているほか「メディカル・ウィッグ」の製作補助にも協力。「アデランス」の製品・サービスを利用することで間接的な寄付・応援に繋がります!
参考
- JHDAC | NPO法人 ジャーダック|髪の毛を失った子どもや女性のための医療用ウィッグの制作・提供
- Npo法人 Japan Hair Donation & Charity
- 病気の子供たちにウィッグを 美容室「アームズ」|WEB TOKACHI-十勝毎日新聞